COLUMN

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Interview02 サンゲツヴォーヌ×インテリアデザイナー尾田恵さん

トレンドの先にある、
インテリアスタイリング(第2話)

医療・健康のためのインテリア

INTERVIEW

牧尾

インテリアと健康の関係を考えるようになったきっかけは?

尾田

光をテーマにしてさまざまなジャンルのメンバーが語るというイベントが2010年にあり、そこで獨協医科大学神経内科の辰元宗人先生とお会いしたことがきっかけです。
辰元先生の専門分野である片頭痛は、薬だけでなくて生活環境の中の光、つまり照明を変えることで随分症状が和らいだりするんです、と。こういったことを照明やインテリアの業界の方に伝えることができれば、生活環境の改善で、片頭痛の患者さんがもっと楽になるのでは?ということで来られていました。
私も過去の物件でお会いしたお施主さまから「天井には照明を一切つけたくない」とか「白い光には疲れてしまう」といったご要望をお聞きしたことがありました。いま思えば、そういう方はきっと光過敏だったんでしょうね。そういった過去の経験が、医療や健康の話とつながり、もっと深く知りたいと思ったんです。

Interview02 サンゲツヴォーヌ×インテリアデザイナー尾田恵さん
写真:Active Care®によるインテリア|獨協医科大学新職員寮
写真:Active Care®によるインテリア|獨協医科大学新職員寮
写真:Active Care®によるインテリア|獨協医科大学新職員寮
写真:Active Care®によるインテリア|獨協医科大学新職員寮
写真:Active Care®によるインテリア|マンションモデルルーム(京都山科)
写真:Active Care®によるインテリア|マンションモデルルーム(京都山科)

牧尾

なるほど、そこから具体的に動きはじめたわけですね。

尾田

はい、たまたまそのタイミングで京都にある新築マンションのモデルルームのお仕事があり、そこで医療とインテリアをテーマに企画をやりたいと、辰元先生にご協力いただき提案しました。その時、企画のキャッチにつけたのが、「Active Care®」なんです。身体と心をセルフケアできる住まいだということを、何か一言で表現したい、と。
当初は、ポジティブなイメージの新築の機会に病気などのネガティブな話題は避けた方がいいんじゃないか、というご意見もありました。ですが、時代もだんだん変わってきて健康への関心も高まり、最近では応援してくださる方がたくさん増えてきました。
片頭痛以外にもインテリアは身体のさまざまな部分の健康にかかわっています。いまは「Active Care®」からさらに進化して、「インテリア健康学」として、より幅広くインテリアと健康の関わりについて伝えていきたい、と考えています。

牧尾

インテリアと健康について、照明器具の話がありましたが、他にはどんなところに気をつける必要がありますか?

尾田

たとえば照明についても、インテリア健康学(頭痛学)では光を受ける素材もすごく大切です。照明器具だけじゃなくて、床材・壁紙の色や素材感、照り返しや光沢感、その組み合わせも大事なポイントです。
ほかにも、光過敏だけではなくて音過敏、におい過敏などがあります。音過敏というのはファブリックに直結する話ですし、におい過敏であれば建材や壁紙は消臭機能のあるものを使うといった対策もありますね。こういう3つの要素が複合的な刺激となって片頭痛を引き起こすので、これに配慮して空間をつくっていく必要があるんです。
家が自分を守ってくれる一番の空間でないといけないですよね。だから、必要に応じてインテリアの計画で刺激要因を無くしていく。そうすると、外の空間で刺激があっても、家がリセットの場になって、身体を労わって新たに頑張ろう、と思うことにつながります。これからは家に限らず、オフィスなど人が存在する全ての空間で健康への配慮が求められる時代です。そういうケアの観念でインテリアを計画するというのがインテリア健康学です。

写真:Active Care®によるインテリア|ペンダント照明はアクティブケア・ライティング(大光電機)|戸建モデルハウス「眠れる家の妻」
写真:Active Care®によるインテリア|ペンダント照明はアクティブケア・ライティング(大光電機)|戸建モデルハウス「眠れる家の妻」
尾田 恵さん

PROFILE

インテリアデザイナー尾田 恵さん

三菱地所、インテリア事務所勤務を経て、2007年株式会社菜インテリアスタイリング(http://sai-interior.co.jp/)を設立。
住宅、商品企画、福祉施設、TV番組等様々なインテリアに携わる。
現在は、医療とインテリアの研究から、身体と心のための「インテリア健康学」Active Care®(アクティブ・ケア)を提唱。2018年「日本インテリア健康学協会」を設立。獨協医科大学における共同研究にも参画し、新たなインテリアの可能性に向け活動を進めている。
(プロフィールは記事掲載時(2018年2月)のものです)

聞き手

牧尾 晴喜

株式会社フレーズクレーズ 代表
一級建築士、博士(工学)
メルボルン工科大学大学院修了、メルボルン大学にて客員研究員
大阪市立大学非常勤講師、摂南大学非常勤講師
公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会理事