COLUMN

Interview 02 サンゲツヴォーヌ ☓ インテリアデザイナー尾田恵さん Interview 02 サンゲツヴォーヌ ☓ インテリアデザイナー尾田恵さん

トレンドの先にある、
インテリアスタイリング(第1話)

夢の世界をリアルにスタイリングする方法

さまざまなモデルルーム、TV番組
「大改造‼劇的ビフォーアフター
(テレビ朝日系)」などの
インテリアスタイリングをはじめ、
インテリアと医療・健康に着目した
プロジェクトも手がける尾田恵さん。
インテリアデザインにおけるトレンドや
空間の見せ方などのお話をうかがいました。

INTERVIEW

聞き手:牧尾さん(以下:牧尾)


さまざまなお仕事を手がけておられますが、まずは、個人住宅などの物件と、モデルルームなど広く外に見せる物件の違いをお聞かせいただけますか?

尾田さん(以下:尾田)

モデルルームって、こんな暮らしがいいなと思えるような、夢の世界をつくるという役割があります。
最近のトレンドとしては、非日常の世界というだけでなく、もっと「人に近い」と言うか、人やストーリーがリアルに見えるように設定をすることが増えています。日常に近いもの、現実的なリアル感に結びついてきていますね。わかりやすく芸能人のご家庭なんかをイメージ設定することもあり、ご夫婦それぞれのお仕事や年齢、お子さまのキャラクターなんかも、すごくリアルに設定していきます。モデルとして見応えがあり、お客さまからの共感も得られるんです。

Photo: 戸建モデルハウス|「キリンの家」(レオグランデひまわりテラス)
Photo: 戸建モデルハウス|「キリンの家」(レオグランデひまわりテラス)

牧尾

『大改造!!劇的ビフォーアフター』のリフォームでは、これまでの日常だった「ビフォー」と「アフター」のメリハリがありますね。

尾田

そうですね。「リフォーム」では、日常の中の手が届きそうな、でもやっぱり将来への期待感が出るような、っていうのが一番求められる部分です。そこに住まう人の人物像がより「リアル」になるように考えます。
だから、たとえばの話ですけれど、モデルルームのバスルームだったら、カゴの中にブラシとボディソープを入れておくっていうのが王道です。でもこれが、仮におばあちゃんがいらっしゃるおうちのお風呂場だったりすると、桶はヒノキで、ブラシでなくヘチマじゃないだろうかと、その方の人物像から具体的に考えていくような感じです。お料理好きなひとだったらスパイスを綺麗に飾るとか。自分の家がこんなにステキになったっていう喜びのお手伝いなので。その方の暮らしとかけ離れて、ただ格好いいだけだと共感はしづらいんです。

Photo: 戸建モデルハウス|「男前の家」(レオグランデ枚方長尾)
Photo: 戸建モデルハウス|「男前の家」(レオグランデ枚方長尾)

牧尾

2017年4月放送の『大改造!!劇的ビフォーアフター』では、歌手のさだまさしさんの詩島(うたじま)のリフォームもありましたね。日常は日常でも、この回はかなり違ったと思うんですけど(笑)、いかがでしたか?

尾田

無人島でインテリアのお仕事をするのは、私にとっては初めての貴重な経験でした。
さだまさしさんが、心許せるお仲間と一緒にいい時間を過ごしたい、新たな人生の楽しみ方を実現できたら、という想いであの島を活用したい、というのがそもそもの発端となったストーリーでした。幾つかの棟とさまざまなお部屋があり、たとえば、ここでは景色を楽しみながら朝食をいただくでしょうから、いい香りの紅茶が飲みたいですね、とティーカップを飾るとか。そういう風にストーリーを作って飾り付けをしていきました。暖炉がある場所では肉料理を楽しんで赤ワイン、2階の屋上テラスではキュッと冷えたシャンパンか白ワイン、といった感じで、結果的にはお酒が多くなりましたが(笑)。

Photo: 2017年4月放送|大改造‼劇的ビフォーアフター|長崎県「さだまさしさんの詩島」
Photo: 2017年4月放送|大改造‼劇的ビフォーアフター|長崎県「さだまさしさんの詩島」
Photo: 2017年4月放送|大改造‼劇的ビフォーアフター|長崎県「さだまさしさんの詩島」②
Photo: 2017年4月放送|大改造‼劇的ビフォーアフター|長崎県「さだまさしさんの詩島」②

牧尾

空間によってスタイリングは違うものになるでしょうし、反対に、スタイリングで行動も変わってきそうですね。

尾田

そうですね。これまで色々インテリアのお仕事をさせていただく中で、暮らしが変わってきたというお話を聴くこともあります。それまではプシュッと缶ビールを飲まれていた方が、インテリアが変わったことがきっかけでワインも飲みたくなったなあ、と。すると次は料理やおつまみなんかも変わってきて料理に目覚めた、なんていうこともありました。「ここはずぼらなパジャマではうろつけないですよね」なんていうことも(笑)。
暮らしや器、空間が変わるとそれに沿って人も変わるというか、新たな自分を発見することがありますね。これまでいろいろなリフォームを通して元気になる人もすごくいっぱい見てきました。いまはインテリアと健康の関係にも注目しています。

尾田 恵さん

PROFILE

インテリアデザイナー尾田 恵さん

三菱地所、インテリア事務所勤務を経て、2007年株式会社菜インテリアスタイリング(http://sai-interior.co.jp/)を設立。
住宅、商品企画、福祉施設、TV番組等様々なインテリアに携わる。
現在は、医療とインテリアの研究から、身体と心のための「インテリア健康学」Active Care®(アクティブ・ケア)を提唱。2018年「日本インテリア健康学協会」を設立。獨協医科大学における共同研究にも参画し、新たなインテリアの可能性に向け活動を進めている。
(プロフィールは記事掲載時(2018年2月)のものです)

聞き手

牧尾 晴喜

株式会社フレーズクレーズ 代表
一級建築士、博士(工学)
メルボルン工科大学大学院修了、メルボルン大学にて客員研究員
大阪市立大学非常勤講師、摂南大学非常勤講師
公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会理事